干支にまつわるエトセトラ《馬》

来年の干支は「午(うま)」です。

そこで今年も「馬」に関した故事や四字熟語を紹介したいと思います。

1.【烏白馬角】

★読み  うはくばかく

★意味  現実に起こりえないことや実現不可能なこと

「烏白馬角な話」といえば「信じられない話」という意味になる。

「烏白」とは白い烏のこと、「馬角」とは角のはえている馬のこと。

同じような意味の四字熟語に「亀毛兎角」がある。

なお、角のある馬のペガサスは、ギリシア神話に登場する伝説の生物で、海神ポセイドーンとメドゥーサの子です。

2.【汗馬之労】

★読み  かんばのろう

★意味  物事を成功させるために、艱難辛苦に耐えること。

「汗馬」は馬に汗をかかせるということから、戦場で功績を得るために駆け巡るということ。

汗馬は汗血馬のことで一日に千里走る駿馬のことをいう。

前漢の武帝は多数の汗血馬と約3000頭の繁殖用の馬を西方から取り寄せ、匈奴との戦いに備えたといわれている。

 

3. 【軽裘肥馬】

★読み   けいきゅうひば

★意味   「軽裘」は軽くて高価な皮衣、「肥馬」は大きくて立派な馬。

富貴な人の外出の時のいでたち。転じて富貴な人。現代風にいうとブランド物のコートで高級外車に乗る富裕層という意味か…。

医聖といわれる華岡青洲の漢詩に、彼の理念が見事に言い表された代表作があるので紹介します。

竹屋蕭然烏雀喧    竹屋 蕭然として 烏雀喧し

風光自適臥寒村    風光 自適 寒村に臥す

唯思起死回生術    唯だ思う 起死回生の術

何望軽裘肥馬門    何ぞ望まん 軽裘肥馬の門

「私の家の周りでは烏や雀が鳴き、私にはこのような田舎に住むことが合っている。ただ思うことは、瀕死の患者を救う医術のことだけである。髙い着物や肥えた馬といった贅沢は望まない。」

これは門下生がかれの塾である春林軒を卒業する際に渡された青洲の自画像に添えられた漢詩で、医師としての心構えを諭したものです。

4. 【馬耳東風】

★読み   ばじとうふう

★意味   他人からの注意や批評を聞いても受け入れることなく、全て聞き流すこと。または何を言われても反応を示すことがないこと。

出典は李白「答王十二寒夜独酌有懐」の一句「唯如東風射馬耳(唯だ東風の馬耳を射すが如し)」である。

佐藤 煒水

 

 

 

 


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