「関戸本古今集」料紙について

古文の優れた書を真似て書く「臨書」の重要性は、古今の書家が述べておられ、また実践されて、創作の基礎になるもので、手習いの初歩段階から書道の上級者に至るまで、欠かすことのできない勉強方法です。

水明誌で半期6回、関戸本古今集を取り上げました。各回1首、1ページの連載で技法の解説をいたしました。

さてここでは、モノクロの水明誌の連載ではお伝えできなかった料紙と文字との関係などについて、少しご説明をさせていただきます。

 

 

 

現代のかな書道の作品は、白い紙以外にも染料で染めたり模様を画いた紙(料紙と呼ぶ)に墨の濃淡で文字を書くことがありますね。

白紙(しろがみ)で書く漢字とは異なり、色彩と墨色を調和させるのが妙味。なんとも言えない趣(おもむき)のある味わいですが、むずかしいところでもあります。

古筆と呼ばれる日本のかな作品は、平安時代に黄金期を迎えます。その頃の女性の装いで、染色加工した単色の衣を重ねて着る十二単(ひとえ)が知られています。色によって季節感も表現する衣装です。

同様に書道においても、多色を濃淡に染めた紙を重ねて和綴の冊子本(ノート状に仕立てる)にしたものが作られました。

料紙にかいた後、製本にしたのではなく、仕立てた本に直接に古今和歌集を書いたもので、現存で著名なものが関戸本古今集です。

 

 

 

関戸本の料紙は、萌黄(もえぎ:黄と青の中間色)、紫、茶、黄などに染めてありますが、同じ色を濃から淡へ、淡から濃へと層をなすように繰り返す「繧繝(うんけん)」とよぶ彩色方法で作成されています。

現存する関戸本古今集はおよそ千年の時を経ていますが、意匠を凝らした和綴の本に書いてあり、特に紙の明るさ暗さに対応した墨の量の扱いは、色付きの料紙にかなを書くときの参考になることは間違いありません。

 

例「濃色料紙の場合」

線に太細をつけるが、線が色に負けて読めなくなるので、渇筆(かすれ)にならないように注意して書く。

 

 

例「淡色料紙の場合」

墨量の多い少ないを隣接の行と対比させて書く

 

 

今に伝わる関戸本古今集は、①読みやすい字形、②紙の明るさに合わせて、墨量・潤渇を変化させる、③リズミカルな運筆、④隣接の行との呼応、⑤流麗な連綿、など、優れた技能を有し、料紙の美しさは時代の美意識を感じる麗しい工芸品です。

ぜひ、カラー本で継続して臨書をしていただきたいと思っています。

小林小琴

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